「こ、これにて本…じ、つの会議を終了さ、せ、て……いただきます。…本日はお疲れさまーー…でした。」

イタリアの覚束無い締めによって世界会議が終了した。

今回の会議の開催地がイタリア北部であるからイタリアが司会を受け持つのが当然なのだが、ドイツが頑なに自分がやると言って聞かなかったのは…まぁ想像がつくだろう。

人や意見を纏めるのが大の苦手であるイタリアが司会をとったハラハラな会議も終わり、参加国のほとんどが会議室から出ていった。
残っているのは書類の整理を手伝う日本とドイツ、それから今日一日の重労働に愚痴を言っているイタリアだ。

「ヴェーー。なんで俺んちなんかで会議するんだよー。司会なんて俺には無理だって皆わかってる筈なのにーー。」

「全くだ。司会者が会議中に寝るなんてもってのほか!お前はもう少し責任という言葉を覚えろ!!」

ほんとお前という奴は、と話を続けるドイツからゴゴゴッと威圧感が増してきて、イタリアは風のような速さで日本に抱き付き助けを求めた。

「日本ー、ドイツがすっごく恐いんだよーー!」

「まぁまぁイタリアくん。でも今日はドイツさんの悪口は言わない方がいいですよ。」

「ふぇ?なんで?」

頭にクエスチョンマークを沢山浮かべきょとんとする彼を日本は優しく体から剥がす。
大きな琥珀色の眼にはきっとドイツの威圧感に怯えたときのであろう涙がほんの少し溜まっている。

「さっきドイツさんが"今日はイタリアも頑張っていたことだし何か美味いものでも食べに行くか"って言っていたんですよ。」

「そうなの!?」

「おい日本!!」

によによと笑いかけてくる極東の島国とキラキラした眼の不思議国家に見つめられ、流石のドイツも恥ずかしそうに顔を赤くしてく。
彼はそのまま照れ臭そうにあー…なんというか…と言葉を濁しながら2人の下に歩いてくる。

でも恥ずかしそうに、困ったようにしていたのは2人の目の前まで来て頭の後ろを左手でかいていた時までで、左腕を下ろし1つ溜め息をついたあとには、優しく微笑んでいた。

「久しぶりの会議で疲れただろ。何が食べたい?」

そう言われ逞しい指で溜まっていた涙を拭られた大きな琥珀色は、パーッと輝き、細く柔らかく山なりに曲がる。

「ドイツの手料理がいいであります!」

「あ、いいですねぇ。私もドイツさんのご飯が食べたいです。」

「そんなのでいいのか?もっと美味いレストランにでも…」

「ドイツ(さん)のが食べたいの(んです!」

力んだ2人の声がうまくはもり、少し間が開いてから3人の笑い声がそれに重なる。

「ははっ。全く。そんなに力をこめんでも…よし。じゃぁ帰るか。俺が腕によりをかけて美味いもん作ってやる。」